フリーランスの契約形態に「業務委託契約」というものがあります。
この「業務委託契約」はIT業界などによく見られ、indeedなどでも多く求人が出ています。今回はフリーランスとして活動している方・したい方に向けて、業務委託契約とそれにまつわる「企業側の違法行為」について解説していきます。
業務委託契約とは?
業務委託契約とは、「企業や個人が自社の業務の一部または全部を、雇用関係を結ばずに外部の企業や個人に委託する契約」のことです。委託された側は、業務の遂行や成果物の提供によって報酬を得ます。雇用契約とは異なり、委託者と受託者は対等な関係で、受託者は自身の裁量で業務を遂行します。
通常の雇用関係と違い、企業側は社会保険料や福利厚生費を負担する必要がなく、いつでも契約を解除できます。反対に受託側は会社に属するメリットがない代わりに、自分の裁量で自由に仕事ができます。
偽装請負について
しかし、世の中には業務委託契約を結びながら、受託者に雇用関係と同等の扱いを求める「偽装請負」を行う企業があります。これは、必ずしも悪意を持って行われるものではなく、企業側が「知らなかった」あるいは「責任者」の立場にいる人間が、契約状況を知らず「部下だからこれをするのは当然」と、契約上同等の関係であるにも関わらず「部下」として扱ってしまうケースが多く見られます。
たとえば私が経験している例として「進捗報告」があります。
私の現場では、始業・終業時にその日の予定を進捗報告を、プロジェクトマネージャーに報告することを求められます。これに対する一般見解が以下です。
一般的な見解
A.業務委託契約にて、毎日始業時間と終業時間に進捗報告を求めることは正当ですか?
Q.業務委託契約において、毎日の始業・終業時に進捗報告を求めることは、原則として不適切または契約形態の趣旨と相容れない可能性があります。
1. 業務委託契約と労働契約の違い
- **業務委託契約(請負・準委任)**は、成果物または業務遂行の完成を目的とする契約であり、委託者は受託者の労働時間や働き方に対して指揮命令を行わない前提です。
- 一方、労働契約は、労働者が使用者の指揮命令下で労働を提供し、その対価として賃金を受け取る契約です。
2. 毎日の始業・終業報告の要求について
- 時間単位での管理(始業・終業の報告)や進捗報告を日々義務付けることは、受託者の業務遂行方法に過度に介入していると解釈されるおそれがあります。
- このような管理が継続的に行われた場合、実態が労働契約に類似している(偽装請負・名ばかり業務委託)とみなされるリスクがあります。
3. 実務上の対応例
- 業務委託契約であっても、成果物の進捗確認のために定期報告を求めることは許容される範囲です。
- ただし、「毎日の始業・終業時」という時間ベースの管理は、回数や報告内容、手段(チャットやツールでの簡易な報告など)によっては指揮命令と捉えられる可能性があるため、頻度や形式には慎重さが求められます。
4. 推奨される運用方法
- 毎日ではなく「週次の進捗報告」「マイルストーンごとの成果報告」などに留める。
- 進捗の透明性を確保したい場合は、受託者側に「タスク管理ツールの活用」などを提案するが、強制はしない。
- やむを得ず日次報告を求める場合でも、「報告内容に成果物の状況を簡潔にまとめてもらう」程度に留め、「始業・終業時刻の報告」自体を要件としないことが望ましいです。
業務委託契約と雇用契約の「良いとこどり」はない
以上、AIの回答でした。
つまり、進捗報告は「成果物」に対してすべきものであって、納期に対する確認としてすべきものです。受託者に時間的な制約を持って定期的な報告を求めるべきものではありません。契約書にはっきりと「この時間に進捗報告をすること」という明記でもない限りは、そのような拘束をすることはできません。
極端な話「納期に間に合っていれば、遊んでいても良い」というのが業務委託契約です。毎日同じ時間に報告をさせるのは、「この時間は必ずこちらの仕事をやれ」という無言の圧力になりえます。
それを求めるのであれば業務委託契約ではなく「雇用契約」を結ぶのが本来の筋であり、「業務委託契約」と「雇用契約」の良いとこどり、つまり「社会保険料や福利厚生費を負担せず、いつでもクビを切れて8時間きっちり働いてくれる労働者が欲しい」というのは企業の身勝手さに他なりません。
悪いのは企業ではない
とはいえ、私は企業だけが悪だとは思っていません。これは全て「知らないこと」が原因です。おそらく現場のマネージャーはそこまで法律に詳しくはありません。ゆえに、「部下」と同じ扱いを求めてしまっているだけです。
本来であれば私がそれを伝えるのが真っ当でありますが、あいにく争いごとが嫌いであまり揉めたくないのが本音です。できれば何事もなく細々と最低限の業務だけを遂行しつついつか独立するというのが私の願いなので、ここで変に法律にこだわって正しさを押し付けても私だけが損をするのではないかという気がしています。
職場の問題点について同じように考えている会社員・フリーランスの方、大勢いると思います。
だからこそ、私はこのようなサイトを作り注意喚起し、そして自分たちで気づいてもらおうと動いているのです。私もいずれ今の現場をやめるつもりです(あるいはクビにされるか)。企業・上司が襟を正さないと労働者はどんどん流出していくということを、肝に銘じてほしいなと思っています。
ありがとうございました。
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