指示待ち人間と聞くと、あたかもクズのような印象を受けます。
確かに自分で直したいと思っているならば指示待ちは改善すべき点ですが、問題は「部下の指示待ちを辞めさせたい」とのたまう上司や経営者の方々。
この記事では「指示待ちはクズではなくむしろ労働者としては当然の姿勢であり、何ら落ち度はない」ということを解説していきます。
指示待ち人間の問題点
まず一般的に言われる指示待ち人間の問題点は以下です。
- 指示を出さないと動かないため業務効率が低下する
- やる気のある人と差が生まれ全体のモチベーションが低下する
- 向上心がなく能力以上の発展がない
しかし冷静に考えると、これらは本当に労働者の問題でしょうか?
指示を出さないと動かないため業務効率が低下する
一見正当性がありそうな主張ですが、これは労働者の本質からズレています。
労働者は労働を対価に賃金をいただいています。あくまで労働ベースであり、やる気などはプラスアルファの評価、本来は労働さえ行えばどれだけやる気がなくても賃金はもらえるという仕組みです。それで業務効率が下がるなら、それは業務プロセスが悪いことが原因です。労働者に改善を委ねるものではありません。
何故か指示がないと動かないことを「悪いこと」のように捉えていますが、本来労働というものは指示通りに動くだけで良いわけです。あくまで主体性を持って動くことで評価されやすいというメリットがあるだけで、指示待ち自体は悪くありません。
むしろそれが労働者としては普通。レビューで言えば☆3評価です。
メリットのために主体的に動くかどうかは本人の選択です。にも関わらず、会社側が「指示待ちは無能、周りの業務効率が悪くなる」という価値観を押し付けるのは、勘違いも甚だしいということです。
やる気のある人と差が生まれ全体のモチベーションが低下する
こちらも勘違いから生まれた幻想です。
あたかも、指示待ち人間がいるからモチベーションが低下するとでも言いたげですが、それは責任の押し付けです。やる気のある☆5の人間が優秀すぎるだけで、別に☆3の人間が無能なわけではありません。労働者としては普通です。適切な指示を出せばしっかり仕事してくれます。
もし社内のモチベーションや効率が落ちているなら、それは指示待ち人間のせいではなく、指示の出し方や業務プロセスが悪いせいです。あるいはその程度でやる気やモチベーションが下がる人間性の問題です。
本来普通に仕事をしているだけで十分どころか褒められても良い状況にも関わらず、それを指示待ちと咎め、あたかも「期待以上の働きをするのが社会人として当然の責務」のように押し付けるのは、経営者・上司の傲慢です。
それを決めるのは労働者一人一人であり、外部から押し付けるものではありません。
向上心がなく能力以上の発展がない
日本企業に蔓延る最も良くない発想です。
個々人がやる気を出して自発的に動けば全てがうまくいくという謎の根性論に頼っていますが、それは幻想です。
むしろ中途半端にやる気を出されると、各人が勝手に無駄な仕事を増やし業務が複雑化します。結果業務効率が落ち、社員も疲弊し、新人が定着しないブラック環境が出来上がるわけですが、それに気づかないところがなんとも哀れです。
大前提として、能力以上の発展をしたいかどうか決めるのは会社や上司ではなく「労働者一人一人」です。
つまりこれは労働者一人一人に夢を与えやる気を感化し、優秀な☆5の人材に育てることができなかった会社の敗北です。にも関わらず、相変わらず責任の全てを労働者に押し付け「どこかに優秀な人間はいないものか…」なんて嘆く姿はまさに高望みです。
指示通りに動けることは素晴らしいこと
指示待ちを恥じることはありません。
労働者として最も大切な素質であり、それができない人もたくさんいます。自信を持ってください。
そして現状指示待ちであっても、あなたの本質は指示待ちではありません。
好きなゲーム、動画、本、漫画、映画、食事、旅行。そういった趣味を楽しむ時、あなたは自発的に動いているはずです。何故ならそれが楽しいから。楽しいことであれば、人間は誰であれ主体性を持って行動できます。
仕事で指示待ちなのは、仕事に夢や楽しさがないから。それはそういう仕事を選んでしまった不幸とも言えるし、労働者に楽しさややりがいを与えることができていない会社の責任でもあります。
しかし何度も言いますが、それ自体悪いことじゃありません。
誰もが好きな仕事をして生きていけるほど現実甘くありません。嫌いな仕事でも頑張っている人がいるから、豊かな社会で生きていけるわけです。彼らを「言われた通りやるだけの無能」のように蔑む風潮はもうやめにしましょう。
言われた通りに仕事ができることは素晴らしいことで、それ以上を望むのは傲慢以外の何者でもありません。
ありがとうございました。
コメント