会社員、派遣の方によくある「本来予定していた業務以外の仕事をまかされる」という状況。私の友人も「事務職でありながら、社内プログラマーに近いことをさせられる」という問題がありました。
とりわけ、業務外の仕事をさせられただけでなく、その仕事が自身の評価に反映されていないということは、労働者にとって納得し難いことです。そこでそういった行為に妥当性があるのか解説します。
問題の整理
今回のポイントは2つ。
- 本来の業務から逸脱していること
- それが評価(給与)に反映されていないこと
一般的な見解
Q.会社員や派遣社員に予定していた業務以外の仕事をさせ、かつ給料にはその業務を含めないことは違法ですか?
A.はい、そのような行為は基本的に違法となる可能性が高いです。以下のような観点から法的問題があります。
1. 労働契約の逸脱
労働者(会社員・派遣社員ともに)は、労働契約書や就業条件明示書に基づいて雇用されています。予定されていた業務以外の仕事を一方的に課す場合、労働契約の範囲を超えており、契約違反となる可能性があります。
2. 労働条件の不利益変更(労働契約法第8条・第9条)
予定外の業務に従事させながら、その業務に対応する賃金を支払わないことは、労働条件の不利益変更に該当し、労働契約法上、労働者の同意がなければ無効です。
3. 派遣社員の場合:労働者派遣法違反
派遣社員については、派遣契約書に記載された業務内容以外の業務に就かせることは原則として禁止されています(労働者派遣法第26条)。これに反すると、派遣先・派遣元の双方が行政指導や罰則の対象となることがあります。
4. 賃金不払い(労働基準法第24条)
業務を行ったにもかかわらず、その分の賃金が支払われない場合、これは賃金不払いにあたります。賃金は「労働の対価」であり、労働基準法第24条により、支払いが義務付けられています。
5. 対処方法
- 労働組合または社内の人事部門に相談
- 会社が対応しない場合は、労働基準監督署へ通報
- 証拠(メール、業務指示、勤務記録など)を保存しておくことが重要
結論
予定外の業務を強いられ、その分の賃金が支払われない場合は、労働契約法・労働基準法・派遣法などに違反している可能性が高く、違法性があると判断されます。状況に応じて、労働基準監督署や専門家(社会保険労務士・弁護士)への相談を検討してください。
契約書を確認することが大事
以上、一般的な見解でした。
労働契約においても派遣契約においても、まずは契約書を一読することが大切です。そこにどのような内容が書かれているか次第で、違法性がはっきりすると思います。
契約書に業務範囲が定められている場合違法となる可能性が高く、労働基準監督署や専門家への相談を検討すべき案件です。
もちろん契約書に記載された範囲が曖昧な場合でも、行った業務に対する評価が反映されていないならば「労働条件の不利益変更」として違法になる可能性が高いです。
評価基準の提示を求めることが大事
労働条件の不利益変更では「労働者の同意なく、業務を評価に含めない」ことが違法となります。とはいえ、多くの方は上司から「この評価でいいよね」と言われたらそれに従うしかありません。立場が低い労働者にとって「労働者の同意なく」という条件が満たされないのが現実です。
その場合の有効策は「評価基準の提示を求める」ことです。
具体的には「どこまでできれば評価になるのかを教えてください」と、できる・できないの境目をはっきりさせます。この質問をするだけでも「曖昧な評価」がしづらくなるので、多少評価に反映されやすくなります。
最終手段は転職
とはいえ、こういった毅然とした態度はやはりストレスになります。できれば穏便に済ませたいですよね。
なので、私はスキルだけ身につけてさっさと転職するか、最低限の仕事だけを行う「静かな退職」を実施するのが有効と考えています。ダメな企業やダメな上司の業績を下げ、良い企業に転職(あるいは自分で起業)し業績を上げる。これが我々労働者にできる最後の抵抗です。
ありがとうございました。
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